ハローサマー、グッドバイ ― 2009年09月12日 18:09
とても、心温まる小説を読みました。良い本ですね。
話を俯瞰的に見ると、戦争や、凍えるような寒さ、政府と民衆の争いなど暗い局面があるのですが、主人公ドローヴの思春期男子っぷりや、ヒロインのブラウンアイズの人柄、二人の関係、リボンの小悪魔的な視線とかが、とてもほのぼのさせてくれます。
また、他の登場人物も、きちんと描かれています。街の友達ウルフやスクウィント、リボンの父親ストロングアーム、役人のメストラー、ドローヴの父や母。不思議とどの人の顔も見えてくるような気がします。例えば、5人で遊んでいる中、ドローヴとブラウンアイズ、ウルフとリボンの二手に分かれることになった時に、仲間外れにされたスクウィントが小さな子供らしく拗ね、それでいてそれぞれ二人の関係を意識して、一人立ち去る所とかは、目にうかぶようです。面白くて、思わず笑っちゃいました。(その後、笑ってられない、ひどいことになるのですが)
後は、大仕掛けではありますが、SF的な構成が話の背景となっているのも、良かったです。スポットCMに出ていた頃のストレイシープを思い起こさせるロリンが、いいアジを出していました。
夏が終わり、秋が始まるこの時期に、この本を読めてよかったです。この本の売れ行き次第では、続編の翻訳があるかもという事ですが、出来れば読んでみたいモノです。
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